

2017年 - 140年
第5章:カジュアルでサステナブル、親しみやすいラグジュアリー
カジュアルで親しみやすい、サステナブルなネオラグジュアリー
第5章
2017年にブライトリングは大手プライベートエクイティ・ファーム、CVCキャピタル・パートナーズおよびパートナーズ・グループに売却されました。時計業界での経験豊かなジョージ・カーンに経営が託されたことにより、ブライトリングは未来志向のブランド再構築を本格的にスタートさせると同時に、その原点とも言える重要なヘリテージへの回帰を果たしました。ブライトリングの歴史における新たな章は、モダンレトロな製品デザイン、サステナビリティ、デジタル化の3つの取り組みを象徴しています。その狙いを込めた新しいキャッチフレーズは、、「Legendary Future(伝説となる未来)」でした。
2017
あらゆるシーンに対応する時計ブランド
会社の再構築を進めるなかで、ジョージ・カーン氏とそのチームは、ブライトリングの豊かな伝統を活かすことの重要性を認識していました。歴史的な要素と現代的な視点を融合させた新しいコーポレート アイデンティティを生み出したのです。ブライトリングは、航空に特化した戦略から一歩踏み出し、空、陸、海の3つの歴史的な世界を再評価。それにより、従来のラグジュアリーとは一線を画す、カジュアルでサステナブル、かつ親しみやすいスイスのゼネラリスト”ウォッチブランドとして新たな姿を確立しました。
この新しいアイデンティティを推進するために、ブライトリングは #Squadonamission を開始し、個々のアンバサダーをそれぞれの分野の専門家である3人のチームに置き換えました。ブライトリングが最初に取り組んだデジタル施策は、保証システムのデジタル化でした。これにより、リアルタイムでのデータ送信が可能となりました。QRコード付きの電子保証カードにより、販売店での迅速なアクティベーションが可能となり、お客様は時計の関連書類やさまざまな特典に、スキャンひとつで簡単にアクセスできるようになりました。


2020
デジタル化の推進
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生し、ビジネスが閉鎖され、世界が停滞したとき、ブライトリングは新作発表の場面である「サミット」のコンセプトをデジタル領域に適応させました。2020年4月に開催されたブライトリング・ウェブキャスト・サミットでは、ジョージ・カーンがウイルスと戦う世界的な取り組みへの支持を表明し、その後、一連の製品が発表されました。これには、危機の最中における希望を象徴するスーパーオーシャン ヘリテージ '57 レインボー エディションや、女性向けコレクションの重要性を強調したナビタイマー 35、全面的にデザインが刷新されたクロノマットが含まれていました。デジタル・プラットフォームの使用は、ブランドのターニングポイントになりました。2020年に登場したブライトリングのエンデュランス プロは、ロックダウン下で注目を集めたアスレジャー・トレンドと絶妙にシンクロし、時代の流れにぴたりと寄り添うモデルとなりました。このタイムピースは多くの人々の心に響き、対面での交流が制限されるなかで、アウトドアアクティビティへの関心を後押ししました。スポーツが貴重な心の拠り所となっていた時期において、まさにそのニーズに応える存在となったのです。またブライトリングは同年、環境負荷を減らすため、以前は重厚だったウォッチボックスを、アップサイクルされたペットボトルから作られたフラットに折り畳み可能なタイプに変更しました。この新しいパッケージデザインは、1000の効率的ソリューションの1つとしてソーラー・インパルス財団に認定されました。ブライトリングは、アイコニックなパイロットウォッチ、ナビタイマーにスリムな38mm径のオートマチックモデルを加えることで、女性層へのアプローチを拡大しました。この製品シフトはヒットし、ナビタイマー オートマチック 38はトップセラーとなり、翌年の41mmバージョンの導入への道を開きました。




2021
変化へのコミットメント
サステイナビリティはブライトリングの将来を見据えた戦略の中核であり、ブランドの発展的精神を継続的に後押しします。その取り組みは、Breitling.comからアクセスできる年次サステナビリティ・ミッション・レポートに詳述されており、同社のサステイナブル・プロジェクトと実践に関する透明性の高い洞察を提供しています。その結果、ブライトリングはこの分野における取り組みの進捗を、数値で示せる数少ない時計ブランドのひとつとなっています。同年、ブライトリングは事業全体でプラスチック廃棄物ゼロを達成することに尽力しました。
2022
ベター・ゴールド、ベター・ダイヤモンド、ベター・トレーサビリティ
新生ナビタイマーは、70周年の記念日に、スイス国際航空ジュネーブ行きの3便の機内で、ブライトリング・サミット・ウェブキャストの特別「機内エンターテイメント」版として公開されました。この時計では、新しさと懐かしさを織り交ぜ、洗練されたモダンなシルエットに現代的なダイヤルカラーを組み合わせ、クラシックなダイヤル上のAOPAロゴも復活しました。アイコンを刷新することは常にリスクを伴いますが、この試みは見事に成功しました。ナビタイマーならではの「遠くからでもひと目でわかる」デザインを守りつつ、新たな命を吹き込んだのです。同年もまた記念すべき年となりました。1962年、マーキュリー7号の宇宙飛行士スコット・カーペンターが、自身の宇宙でのミッションのためにナビタイマーの改良をウィリー・ブライトリングに依頼すると、ウィリーはこの挑戦に飛びつきました。その結果、歴史的な軌道周回旅行でカーペンターの手首に巻かれた24時間表示のユニークなナビタイマー、コスモノートが誕生し、宇宙を旅した最初のスイス製腕時計になりました。60周年記念リミテッドエディションのコスモノートは、歴史的な飛行に敬意を表したものです。サステナビリティの観点において、ブライトリングは大きな前進を遂げました。「オリジンズ ウォッチ」を皮切りに、貴金属や宝石の調達において「ベター・ゴールド(追跡可能な手工業採掘の金)」や「ベター・ダイヤモンド(責任あるラボグロウン・ジェムストーン)」の導入を開始。38mmのスーパークロノマットとして登場したこのモデルでは、使用されるすべての貴素材がその出自まで完全に追跡可能であり、サプライチェーン上の各工程も第三者によって検証されています。




2023
視野を拡大する
ブライトリングは、ブランドのアイコニックなデザインとパステルパレットを組み合わせた、ナビタイマー オートマチック 36と32を、3針のナビタイマー コレクションとして発売しました。マザーオブパール製の文字盤が採用されたこのモデルは、スイス・ベター・ゴールド・アソシエーションの厳格な基準を満たす小規模鉱山から産出されたゴールドと、トレーサブルなラボグロウン・ダイヤモンドを使用しています。
2024
140 YEARS OF FIRSTS
2024年、ブライトリングは「140 Years of Firsts」の旗の下に一連の成果を掲げ、創業140周年を祝いました。毎月、ブランドが切り拓いてきた画期的な歴史の数々が語られました。広く知られた功績だけでなく、あまり知られていない革新の物語も明らかにしたのです。その年に購入されたすべての時計には、特別なアニバーサリー証明書が付属していました。
2024年8月、ブライトリングはチューリッヒに「Then & Now」ポップアップミュージアムをオープンし、これはブランドにとって大きな節目となりました。3フロアにわたって展開されたこのミュージアムでは、ブライトリングの3つの世界観──AIR、LAND、SEA──をテーマに、ブランドの歴史に刻まれた数々の象徴的な瞬間を体験できる内容となっています。インタラクティブな展示、貴重なヴィンテージウォッチ、歴史的資料の数々を通じて、ブライトリングの奥深いヘリテージに紹紹介。 ポップアップミュージアムは、20,000人以上の訪問者と100のイベントを開催し、9か月間で閉館しました。
ハイライトの1つは、世界中の50以上のブティックに展示されているブライトリングのアーカイブから、厳選されたヴィンテージウォッチを披露した「The Time Capsule(タイムカプセル)」展でした。ブライトリングはまた、ブランドの歩みを140の物語でたどる記念書籍『140 Years in 140 Stories』を発表しました。創業から現在に至るまで、世界有数の時計ブランドへと成長してきた軌跡がこの一冊に凝縮されています。
さらにブライトリングは、革新的なブライトリング キャリバー B19を搭載した3つの特別なアニバーサリーピースを発表しました。このパーペチュアルカレンダー ムーブメントは、約100年に一度の調整しか必要とせず、約96時間のパワーリザーブを備え、ブライトリングの歴史における新たな注目すべき成果となっています。
世界的なパンデミックやエネルギー危機という困難な状況下にありながらも、ブライトリングは単に乗り越えただけでなく、むしろ大きく飛躍しました。現在ブライトリングは、高級時計市場での成長をさらに加速させると同時に、ライフスタイル領域へとその展開を広げる準備を整えています。この数年でブライトリングは大きな進化を遂げてきましたが、CEOのジョージ・カーンがいつも言っているように、「これはほんの始まりに過ぎない」のです。
140年もの間、ブライトリングは常に時計製造の歴史を切り拓いてきました。空へ、陸へ、そして海へ──その限界に挑み続け、今もなお前進を続けています。